砂漠化とは?原因・影響・対策と私たちにできることをわかりやすく解説

砂漠化とは?原因・影響・対策と私たちにできることをわかりやすく解説 環境用語

砂漠化とは、雨の少ない地域で、気候の変化や人間の活動によって土地が弱り、植物や作物が育ちにくくなる現象を指します。

砂漠がそのまま周囲へ広がることだけではなく、雨不足や木の切りすぎ、農地・牧草地の使いすぎなどによる土地の変化も含まれます。

砂漠化が進むと、食べ物や水が不足するほか、動植物のすみかや人々の仕事が失われ、貧困や移住などの社会問題にもつながるのです。

この記事では、砂漠化の意味、原因、世界の現状、対策を分かりやすく説明し、私たちが今日からできる3つの行動まで紹介します。

砂漠化とは?雨の少ない地域で土地が弱っていくこと

砂漠化を正しく理解するには、土地が砂に変わったかではなく、植物や作物を育て、人や動物の暮らしを支える力が低下したかに注目します。

国連砂漠化対処条約では、乾燥地域、半乾燥地域、乾燥半湿潤地域で、気候変動や人間活動によって起こる土地の劣化と定めています。

土地の劣化は雨の多い地域でも起こりますが、そのうち雨が少ない地域で生じるものが砂漠化に当たります。

まずは砂漠が広がることとの違いを押さえ、干ばつや土地の劣化とどのような関係にあるのかを順番に確認してください。

出典:環境省「砂漠化する地球」

砂漠が広がることだけが砂漠化ではない

砂漠化は、もともとある砂漠が風などの影響で広がり、周囲の草地や農地を砂で覆っていく現象だけを指す言葉ではありません。

雨の少ない地域で草や木が減り、土の養分や水を保つ力が落ちて、作物を育てにくくなる変化も砂漠化に含まれます。

たとえば、風や雨で地表の土が流されることや、農業用水に含まれる塩分が土に残り、植物が育たなくなることも土地が弱る例です。

見た目が砂地であるかではなく、以前は利用できた土地の働きが気候や人間の活動によって失われたかを基準に捉えてください。

砂漠化と干ばつ・土地の劣化にはどんな関係がある?

砂漠化、干ばつ、土地の劣化は関係していますが、同じ現象ではなく、起こる地域や意味の広さに違いがあります。
土地の劣化という大きな枠の中に砂漠化があり、干ばつは砂漠化を進める原因の一つとして位置づけられます。

言葉意味
砂漠化雨の少ない地域で、気候や人間活動によって土地の力が低下すること
干ばついつもの年より雨が少ない状態が長く続くこと
土地の劣化地域を問わず、土や植物が持つ働きが低下すること

干ばつが一度起きただけで、その土地がすぐに砂漠化するわけではありません。
雨不足に土地の使いすぎなどが重なり、植物や土が回復できない状態になると砂漠化が進みます。

砂漠化はなぜ起こる?2つの原因と進み方

砂漠化は一つの原因だけで起こるのではなく、雨の量や気温などの気候的要因と、人間による土地の使い方が重なって進みます。
同じように雨が少ない地域でも、土地へかかる負担や植物の回復力によって、砂漠化の進み方は変わるのです。

気候的要因と人為的要因のどちらが強く影響するかは、地域や時期によって異なり、すべての場所に共通する一つの原因はありません。
この章では2つの原因を分けて確認した後、植物と土が弱り続ける悪循環まで順番に説明します。

出典:環境省「砂漠化の原因」

雨不足や気温の上昇など、気候の変化が原因になる

雨が少ない状態が長く続く干ばつや、地域全体が以前より乾いていく乾燥化は、砂漠化を進める気候的要因です。

雨が十分に降らないと土に含まれる水分が減り、草木や農作物が弱って、地面を覆う植物も少なくなります。

気温が上がると地面や植物から水分が蒸発しやすくなり、降水量が同じでも、土に残って植物が使える水は減っていきます。

ただし、一度の干ばつだけで砂漠化するのではなく、乾燥が長引き、土地が元の状態へ戻れなくなると砂漠化が進みます。

木の切りすぎや農地・牧草地の使いすぎも原因になる

雨の少ない地域では植物が育つまで時間がかかるため、土地が回復する速さを超えて木や草を利用すると、地面を覆う植物が減っていきます。

木を切りすぎると根で土を支えられなくなり、雨や風によって、作物の成長を支える表面の土が運ばれやすくなるのです。

同じ農地で作物を育て続けると土の養分が減り、家畜を増やしすぎると草が食べ尽くされたうえ、地面も踏み固められます。

こうした土地の使いすぎの背景には、人口増加や貧困、食料・燃料への需要があり、地域の暮らしと深く結びついています。

植物が減ると土が流れ、さらに植物が育ちにくくなる

植物が減って地面がむき出しになると、土は雨や風を直接受け、養分を多く含む表面の部分から流されたり吹き飛ばされたりします。

残った土は水をためにくくなり、種が芽を出しても根を伸ばせないため、草木や農作物が育ちにくくなるのです。

作物や草が減ると、新しい農地を広げたり、残った牧草地に家畜を集めたりして、土地へかかる負担がさらに増えていきます。

このように植物の減少と土地の使いすぎが互いを強め、土地が元の状態へ戻りにくくなる流れが砂漠化の悪循環です。

砂漠化が進むと起こる3つの問題

砂漠化の影響は地面が乾くことだけにとどまらず、食べ物や水、動植物のすみか、人々の健康や仕事へ次々と広がります。

乾燥地で暮らす人々の生活が、農地や牧草、森林など、身近な自然から得られるものに支えられているためです。

土地・自然・暮らしへの影響はそれぞれ独立しておらず、一つの問題が別の問題を引き起こし、砂漠化の被害をさらに広げます。

この章では複雑につながる影響を3つに分け、土地が弱ることで何が起こるのかを身近な言葉で整理します。

出典:環境省「砂漠化の影響」

作物が育たなくなり、食べ物や水が不足する

砂漠化によって土の養分や水をためる力が失われると、作物の根が十分に伸びず、同じ広さの農地から得られる収穫量が減ります。

家畜が食べる草も少なくなるため、農作物だけでなく、肉や乳などの食料も安定して生産できなくなるのです。

地面を覆う植物が減ると、降った雨が土へしみ込まずに流れやすくなり、地下にたまる水や井戸からくみ上げられる水も減っていきます。

限られた水を人の生活、農業、家畜で分けることになり、もともと水の少ない地域ほど不足が深刻になります。

植物や動物のすみかが失われる

砂漠化によって草や木が減ると、それらを食べ物や巣、日よけとして利用していた昆虫、鳥、野生動物も暮らしにくくなります。

植物の種類が減れば、花粉や種を運ぶ生き物とのつながりが切れ、植物が新しく育つ機会も失われていくのです。

さまざまな生き物が同じ地域で支え合っている状態を生物多様性と呼び、土の中にいる小さな生き物も、その一部に含まれます。

生き物の種類が少なくなった土地は、干ばつや病気などの変化を受けたときに回復しにくく、さらに弱い土地へ変わります。

健康や仕事が脅かされ、貧困や移住につながる

植物が減って地面がむき出しになると砂ぼこりが舞いやすくなり、細かな粒を吸い込むことで、せきや呼吸器への負担が増えます。

作物の収穫や家畜から得られるものが減れば、農業や牧畜で生活する人の仕事と収入も失われていくのです。

水や燃料に使う木を遠くまで探しに行くようになると、暮らしにかかる時間と体への負担が増え、貧困から抜け出しにくくなります。

移住には争いや経済など複数の原因がありますが、砂漠化は生活を続ける手段を減らし、住み慣れた土地を離れる人が増える要因になります。

世界ではどこで砂漠化が進み、どんな対策をしている?

砂漠化は世界各地の乾燥地域で起きていますが、土地の状態や原因、被害の大きさは、国や地域によって異なります。

降る雨の量、土の性質、育てる作物、家畜の種類、人々の暮らし方が地域ごとに違うからです。

そのため、どの地域でも同じ方法を使うのではなく、土地の使い方を見直しながら、土・水・植物を守る方法を組み合わせます。

この章では被害が目立つ地域を確認したうえで、現地の対策と、国際協力に参加する日本の取り組みを紹介します。

アフリカやアジアの雨が少ない地域で深刻になっている

アフリカでは、サハラ砂漠の南側に広がるサヘル地域や、東部の「アフリカの角」と呼ばれる地域などで、干ばつと土地の劣化が続いています。

国連砂漠化対処条約事務局によると、アフリカの約3分の2は砂漠または乾燥地で、そのうち約4分の3で土地が劣化していると推定されています。

アジアにも広い乾燥地があり、中国、モンゴル、インド、イラン、パキスタンなどでは、土の流出や過放牧など、地域ごとに異なる問題が起きています。

砂漠化は砂に覆われる形だけでなく、草地や農地が少しずつ弱る形でも進むため、土地や植物の変化から確かめます。

農業の方法を見直し、土・水・植物を守っている

砂漠化への対策は木を植えるだけではなく、土地をこれ以上弱らせない農業と、傷んだ土地を回復させる取り組みを組み合わせます。

育てる作物を順番に替える、土を植物や枯れ葉で覆う、家畜を放す場所と時期を分ける方法によって、土地への負担を減らすのです。

水の少ない地域では、雨水をためたり、作物の根元へ少しずつ水を届けたりして、限られた水を無駄なく使います。

植物を育て直す場合も、その土地の気候に合う種類を選び、住民が農業や牧畜を続けながら管理できる方法を取り入れています。

出典:JICA「水不足の半乾燥地帯で節水型農業を推進」

日本も食料の輸入や海外支援を通じて関わっている

日本には砂漠化が起こりやすい乾燥地がほとんどありませんが、海外から食料や木材などを輸入しているため、遠い地域の問題で終わりません。

生産地の土地が弱って収穫量が減ると、輸入できる量や価格が変わり、日本の食卓や買い物にも影響が及びます。

日本は国連砂漠化対処条約に参加し、政府開発援助や国際機関への資金提供、農業・緑化技術の共有などを通じて各国を支援しています。

2026年にはモンゴルと協力し、砂漠化や草地の劣化を調べるデータ基盤の開発に向けた事業も始動しました。

出典:外務省「砂漠化対処条約」JICA「モンゴル向け地球規模課題対応国際科学技術協力」

砂漠化を止めるために私たちができる3つのこと

日本で暮らす一人の行動だけで、遠い地域の土地を直接回復させることはできませんが、毎日の消費は食料や木材の生産地とつながっています。

使い切れない量を買うことや、短期間で捨てることが増えると、限られた土地と水を使って生産した資源まで無駄になります。

食べ物を使い切る、商品の作られ方を確かめる、問題を学んで活動を支えるという3つの方法なら、日常生活から取り組めます。

一人ひとりが消費の仕方を変えることで、土地へ過度な負担をかけない生産や、砂漠化対策に取り組む人々を後押しできます。

食べ残しを減らして農地や水を無駄にしない

食べ物を生産するまでには、作物や家畜を育てる土地と水に加え、肥料、飼料、運搬などにも多くの資源が使われています。

まだ食べられる食品を捨てると、生産に使った資源も無駄になり、余分な生産によって農地へかかる負担が増えるのです。

買い物の前に冷蔵庫の中を確認し、食べ切れる量だけ購入して、すぐに使わない食品は冷凍するなど保存方法を工夫します。

料理は食べる量に合わせて作り、残った場合は別の料理に使うなど、家庭から発生する食品ロスを減らしてください。

出典:環境省「SDGsの各ゴールの関係と世界の現状」

環境に配慮して作られた商品を選ぶ

紙や木材、衣類、食品などを作るには土地と水を使うため、商品を選ぶときは、原料がどのような場所や方法で生産されたかを確かめます。

たとえば、ノートやティッシュ、家具などに付くFSCマークは、定められた基準に沿う木材や再生原料を使用した商品を見分ける目印です。

認証マークの付いた商品を買うだけで砂漠化が直接止まるわけではありませんが、森林や土地を管理しながら生産する事業者を支えられます。

必要な量だけ購入し、修理や再利用によって長く使うことも、新しい資源を得るために土地へかかる負担を抑えます。

出典:FSCジャパン「CoC認証」

砂漠化について学び、支援活動に参加する

砂漠化について学ぶと、食べ物や商品の選び方が土地へどのようにつながるかを理解し、家族や友達にも正しい情報を伝えられます。

インターネット上の図や数字を紹介するときは、環境省や国連などの発表元に加え、調査した年と対象地域も確認してください。

国連は毎年6月17日を「砂漠化および干ばつと闘う世界デー」と定め、土地の劣化や回復について知る機会を設けています。

寄付や活動へ参加する場合は、団体の活動報告、寄付金の使い道、現地住民との連携を調べ、内容を公開している支援先を選んでください。

砂漠化の仕組みを知り、できることから始めよう

砂漠化は、雨の少ない地域で、気候の変化や土地の使いすぎによって植物や作物が育ちにくくなる土地の劣化です。

  • 砂漠が周囲へ広がる現象だけを意味しない
  • 気候の変化と人間の活動が重なって進行する
  • 食料・水不足、生物多様性の減少、貧困などにつながる
  • 地域に合った農業や水・土壌の管理によって防ぐ
  • 食品ロスの削減や商品の選択、支援への参加で協力する

砂漠化を防ぐには、現地で土地を回復させる対策に加え、土地や水を無駄に消費しない暮らしが対策を支えます。
まずは家庭にある食べ物を使い切るなど、今日から続けられる行動を一つ選んで実践してください。

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