グリーンウォッシュとは、十分な根拠や実態がないにもかかわらず、商品や企業活動を環境に配慮しているように見せる表現や行為です。
「環境にやさしい」「サステナブル」といった言葉も、対象範囲や算定条件が不明確であれば、消費者の誤解を招くおそれがあります。
企業の信用を損なうだけでなく、環境配慮型の商品を正しく選べなくなる点も問題です。
本記事では、代表的なパターンや国内外の事例、規制、見分け方、企業が取るべき対策をわかりやすく解説します。
グリーンウォッシュとは?最初に押さえたい3つの基本
実態や根拠が伴わない環境配慮のアピールを指す
グリーンウォッシュとは、実態や十分な根拠がないにもかかわらず、商品や企業活動を環境に配慮しているように見せる表現や行為です。
消費者は企業の内部情報や製造工程をすべて把握できないため、広告や商品パッケージの印象から環境性能を判断します。
たとえば、具体的な削減量を示さずに「環境にやさしい」と表示すると、実際より環境負荷が小さい商品だと受け取られるおそれがあります。
環境に関する主張は、使用した言葉だけでなく、それを裏付けるデータや表示対象の範囲まで含めて確認してください。
語源とグリーンウォッシングとの違い
グリーンウォッシュは、環境配慮を示す「green」と、欠点をごまかして外見を取り繕う「whitewash」を組み合わせた言葉です。
英語の「greenwashing」は環境に配慮しているように見せる行為や手法を表し、「greenwash」は名詞や動詞として使われます。
日本語の記事では「グリーンウォッシュ」と「グリーンウォッシング」がほぼ同じ意味で使われ、表記によって問題の種類が変わるわけではありません。
記事や社内資料では表記をどちらかに統一し、初出時に同義であると補足すると、読者が別の概念だと誤解せずに読み進められます。
参考:東京商工会議所「『地球にやさしい』は使えない?『グリーンウォッシュ』規制強化へ」
SDGsウォッシュ・グリーンハッシュとの違い
SDGsウォッシュは、環境だけでなく、貧困や人権、ジェンダー平等などを含むSDGsへの貢献を実態以上に見せる行為です。
グリーンウォッシュが主に環境分野の訴求を対象とするのに対し、SDGsウォッシュは17の目標に関わる幅広い活動を対象とします。
一方、グリーンハッシュは、批判やグリーンウォッシュとの指摘を恐れ、実際に行っている環境活動まで公表しない状態です。
過大な訴求と情報の抑制では方向が異なりますが、どちらも企業活動の透明性を下げるため、成果と限界を事実に基づいて発信してください。
参考:EICネット「SDGsウォッシュ」
参考:WWFジャパン「新『環境表示ガイドライン』を読み解く」
グリーンウォッシュが問題視される3つの理由
消費者が本当に環境負荷の小さい商品を選べなくなる
グリーンウォッシュが広がると、消費者は商品の実際の環境性能を正しく比較できず、表示の印象だけで購入先を決めることになります。
原料の調達方法や製造工程、廃棄時の負荷を個人で調べるのは難しく、企業が発信する広告やパッケージが主な判断材料になるためです。
たとえば、一部に再生素材を使っただけの商品を全体として「環境にやさしい」と訴求すれば、他の商品より負荷が小さいという誤解を招きます。
その結果、実際の環境改善につながらない商品へ購入が集中し、根拠を示している企業や商品の選択肢が埋もれてしまいます。
参考:国連「Greenwashing – the deceptive tactics behind environmental claims」
投資家や取引先の判断を誤らせて企業の信用を損なう
根拠の乏しい環境情報は、投資家や取引先が企業の将来性や事業リスクを評価する際の前提を崩します。
ESGを基準に資金を配分する投資家は、開示された環境目標や投資方針、過去の実績が事業の実態と一致しているものとして判断するためです。
たとえば、環境改善に直結しない投資商品をESG投信として販売すれば、投資家の意図と異なる分野へ資金が流れます。
環境主張の誇張が判明すると、投資先や取引条件の見直しにつながるため、企業は発信前にデータと実際の事業活動が一致しているか確認してください。
参考:IOSCO「Supervisory Practices to Address Greenwashing」
環境改善を遅らせ、誠実な企業が評価されにくくなる
根拠のない環境表示が増えると、問題のある企業だけでなく、環境配慮をうたう商品や表示全体への信頼が低下します。
消費者がどの主張を信用してよいか判断できなくなれば、環境負荷を減らした商品へ需要を移す市場の働きも弱まります。
データの収集や第三者検証に費用をかけた企業が、印象的な言葉だけを掲げる企業より不利になる状況も生じます。
実態のない訴求によって売上や資金を得られる市場では、企業が環境改善へ取り組む動機が薄れ、持続可能な商品や事業への転換が遅れます。
参考:OECD「Protecting and empowering consumers in the green transition」
悪意がなくてもグリーンウォッシュが起こる3つの原因
曖昧な言葉を使い、対象範囲や条件を省略してしまう
企業が広告や商品パッケージを短く印象的にまとめようとすると、具体的な説明より「エコ」「地球にやさしい」といった言葉を優先しがちです。
しかし、こうした表現には統一された評価基準がなく、根拠や適用範囲を添えなければ、商品全体の環境性能を示す主張として受け取られます。
たとえば、包装の一部に再生素材を使った商品を単に「環境配慮型」と表示すると、製品本体や製造工程まで改善したような印象を与えます。
対象が商品か包装か、何と比較した結果か、どの条件で効果を得られるかを省くことが、意図しないグリーンウォッシュにつながります。
参考:英国広告基準協議会「Environmental claims: General “Green” claims」
部門間の連携が不足し、環境データを十分に確認できていない
環境負荷に関する情報は、原料調達、製造、物流、販売など複数の部門や取引先に分散しています。
一方、広告やWebサイトを作る広報・マーケティング部門は、数値の算定方法や適用範囲まで共有されなければ、データの意味を正確に判断できません。
たとえば、製造部門が「包装材のプラスチック使用量を30%削減」と報告しても、広報部門が「商品の環境負荷を30%削減」と表現すれば対象が広がります。
元データに誤りがなくても、部門間で定義や条件を共有しないまま発信すると、実態を超えた環境主張が生まれます。
成果を強調するあまり、実際より大きな効果を伝えてしまう
環境への取り組みを販売促進や企業評価へつなげようとすると、成果が出た部分だけを切り取り、全体の改善として発信する場合があります。
個々の数値が事実でも、対象外の事業や環境負荷を示さなければ、広告全体では実態より優れた印象を与えます。
たとえば、一つの事業所で再生可能エネルギーへ切り替えただけで、企業全体が再生可能エネルギーを使用しているように示す表現です。
成果を伝える際は、対象となる拠点や期間、達成していない範囲も併記し、取り組みの一部を企業全体の実績へ広げないでください。
参考:英国競争・市場庁「Making environmental claims on goods and services」
「7つの罪」でわかるグリーンウォッシュの代表的なパターン
「7つの罪」は、環境マーケティング会社TerraChoiceが商品表示を調査し、誤解を招きやすい環境主張を分類した枠組みです。
2007年に公表した6分類へ「偽りのラベル」を加え、現在は消費者が環境表示を判断するための学習ツールとして活用されています。
ただし、7つの罪は法律上の違反を判定する基準ではなく、該当するだけで直ちに違法となるものではありません。
各パターンを確認すると、環境表示のどの情報が不足しているのかを整理でき、商品選びや広告公開前の確認に活用できます。
参考:UL Solutions「Sins of Greenwashing」
一部の環境性能だけを強調する「隠れたトレードオフ」
隠れたトレードオフとは、商品の一つの長所だけを示し、製造や使用、廃棄で生じる別の負荷を伝えない表現です。
ある環境課題を改善していても、そのために別の資源消費や排出量が増えていれば、商品全体の優位性までは証明できません。
たとえば、持続可能な森林から調達した紙でも、製造時に多くのエネルギーや水を使い、漂白工程で汚染物質を排出する場合があります。
原料だけを根拠に商品全体を「環境にやさしい」と示さず、調達から廃棄までの影響と評価対象を明記してください。
確認できる根拠を示さない「証拠の欠如」
証拠の欠如とは、環境効果を主張しているものの、消費者が確認できるデータや第三者認証を提示していない状態です。
主張が事実であっても、根拠へアクセスできなければ、他社商品と比較したり、数値の妥当性を判断したりできません。
たとえば「CO2排出量を50%削減」と表示しても、基準年、算定範囲、計算方法がなければ、何を半減させたのか判断できないでしょう。
数値を使用する場合は、算定条件や元データの掲載場所を示し、第三者検証を受けた場合は認証機関と対象範囲も明記してください。
意味や対象範囲がはっきりしない「曖昧な表現」
曖昧な表現とは、「自然由来」「クリーン」「サステナブル」など、何を基準に環境へ配慮しているのか特定できない言葉です。
定義や評価項目が示されていなければ、企業が想定した範囲を超えて、商品全体の環境性能が高いと解釈されます。
たとえば「100%天然素材」であっても、原料採取による生態系への影響や、加工時のエネルギー消費が小さいとは限りません。
抽象的な言葉だけで優位性を示さず、削減した負荷の種類、対象となる工程、比較結果を具体的に説明してください。
環境性能と直接関係のない情報を強調する「無関係」
「無関係」とは、表示内容そのものは事実でも、商品の環境性能を比較するうえで判断材料にならない情報を強調する表現です。
法令ですでに使用が禁止されている物質や、同種の商品が共通して満たす条件を掲げても、その商品だけの環境上の利点にはなりません。
たとえば、もともと対象物質を使用しない商品に「有害物質不使用」と表示すると、他の商品には含まれているような印象を与えます。
環境上の特徴を訴求する前に、その情報が商品固有の改善を示すのか、購入時の比較に役立つのかを確認してください。
環境負荷の高い商品同士で優位性を訴える「よりましな選択」
「よりましな選択」とは、環境負荷が大きい商品カテゴリーの中で小さな改善だけを示し、環境に優れた選択肢として訴求する表現です。
同種商品との比較が正しくても、商品自体が与える負荷を伏せれば、環境への影響が小さいという過度な印象につながります。
たとえば、従来型より燃費を改善した大型車を「環境にやさしい車」と表示しても、小型車や公共交通機関を含めた比較にはなっていません。
改善結果を伝える際は比較対象を同じ商品区分に限定し、負荷そのものが解消されたような表現を避けてください。
事実と異なる環境効果を伝える「虚偽」
「虚偽」とは、環境性能や原材料、削減実績について、客観的な事実と異なる内容を表示する行為です。
根拠を公開していない「証拠の欠如」と異なり、調査によって表示内容そのものが誤っていると確認できる点に違いがあります。
たとえば、再生素材の使用率が一部にとどまる商品を「再生素材100%」と表示すれば、消費者へ事実とは異なる情報を伝えます。
環境効果を数値で示す場合は、仕入記録や算定資料と照合し、実績を上回る表現や達成前の数値を確定値として掲載しないでください。
第三者認証を受けたように見せる「偽りのラベル」
「偽りのラベル」とは、第三者機関から認証を受けていないにもかかわらず、言葉や図柄によって公的な認証があるように見せる表示です。
消費者は認証マークを客観的な審査の証明として受け取るため、自社基準のマークでも説明がなければ判断を誤ります。
たとえば、葉を描いたマークに「環境認定」「エコ認証」と記載しながら、認証機関や審査基準を示していないケースです。
認証マークを掲載する際は、運営機関、認証の対象、基準を確認できるURLを示し、自社独自の表示にはその旨を明記してください。
国内外の3つの事例から見る問題になりやすい環境訴求
グリーンウォッシュの事例として紹介されるケースには、行政処分を受けたものから、広告審査機関や環境団体に指摘されたものまであります。
それぞれ法的な位置づけが異なるため、批判を受けた企業を一律に法令違反と扱うと、事実関係を正しく伝えられません。
事例を確認する際は企業名や処分結果だけでなく、どの表現が使われ、どの根拠や条件が不足していたのかを読み取ります。
ここでは行政処分、広告審査、社会的批判を区別し、問題になりやすい環境訴求を国内外の3例から解説します。
日本|根拠を示せず行政処分を受けた生分解性プラスチック表示
消費者庁は2022年12月、カトラリーやストロー、カップなどを販売する2社に対し、景品表示法に基づく措置命令を行いました。
対象商品には、土中へ埋めると分解されて自然へ還ることや、二酸化炭素と水へ分解されることを示す表示が掲載されていました。
消費者庁が表示を裏付ける合理的な根拠資料を求めたところ、2社の提出資料は根拠として認められませんでした。
生分解性という素材の特徴だけで自然環境中の分解を断定せず、分解に必要な温度や期間、処理環境まで確認したうえで表示してください。
参考:消費者庁「カトラリー、ストロー、カップ等の販売事業者2社に対する景品表示法に基づく措置命令について」
海外|広告審査機関から問題を指摘された航空会社の環境広告
英国広告基準協議会は2023年12月、ルフトハンザのGoogle広告に使われた「より持続可能な方法で飛ぶ」という趣旨の表現を問題と判断しました。
広告内では、その表現がどのような仕組みや比較に基づくのか説明されず、他社より環境負荷が小さい航空サービスだと受け取られる状態でした。
同社は持続可能な航空燃料の利用や気候保護事業への拠出を挙げましたが、広告だけでは環境効果の根拠を確認できませんでした。
同協議会は広告規定への違反を認定し、同じ形式で広告を掲載せず、客観的な主張には確かな根拠を用意するよう求めています。
参考:英国広告基準協議会「Deutsche Lufthansa AG」
海外|消費者や環境団体から批判されたアパレルの環境訴求
環境団体Changing Markets Foundationは2021年、欧米の12ブランドがオンラインで販売する4,028商品を調査しました。
同団体の評価では、39%の商品に環境訴求があり、そのうち59%が英国競争・市場庁の指針に何らかの形で反していました。
具体例として、基準を説明せず「責任ある商品」と表示した衣類や、ポリエステル製品をサステナブル商品群へ含めたケースが挙げられています。
これは環境団体による調査結果であり行政の違法認定ではありませんが、商品群の名称だけでは環境性能の根拠にならないことを示す事例です。
参考:Changing Markets Foundation「Synthetics Anonymous」
日本と海外で押さえておきたい4つの規制・指針
グリーンウォッシュを一律に禁止する共通の国際ルールはなく、表示する国や商品、広告媒体によって適用される制度が異なります。
法律に基づく行政処分のほか、法的拘束力を持たないガイドラインや、広告審査機関による自主規制も区別して確認します。
日本向けの表示でも、海外で商品を販売したり広告を配信したりすれば、現地の消費者保護制度が関係します。
制度名だけで判断せず、対象となる主張、適用時期、違反時の対応を整理し、自社の販売地域に合わせて表示を確認してください。
日本では景品表示法による措置命令や課徴金の対象になり得る
景品表示法に「グリーンウォッシュ」という名称の規定はありませんが、環境性能を実際より著しく優れているように示せば、優良誤認表示に該当します。
故意に偽った場合だけでなく、確認不足によって誤った表示を掲載した場合も規制の対象となり、措置命令を受ける可能性があります。
消費者庁から根拠資料を求められ、資料を提出しない場合や合理的な根拠と認められない場合は、不当表示とみなされます。
課徴金制度の要件も満たせば納付命令の対象になるため、表示した効果と対応する客観的な試験結果や算定資料を保存してください。
参考:消費者庁「優良誤認とは」
2026年改定の環境表示ガイドラインは法的拘束力を持たないが実務上の指針になる
環境省は2026年3月、国内外のグリーンウォッシュ対策を踏まえ、環境表示ガイドラインを13年ぶりに改定しました。
法律ではないため違反だけで行政処分を受けるものではありませんが、事業者が自己宣言による環境表示を作成・確認する際の指針になります。
改定版は、曖昧な主張を避けること、説明文を付けること、ライフサイクル全体を考慮することなど5項目を掲げています。
さらに、検証用データへのアクセスと、LCAや数値に基づく適切な比較も示しているため、広告公開前の確認基準として活用してください。
金融庁の監督指針がESG投信の情報開示を求めている
金融分野では、環境への配慮を掲げながら運用実態が伴わないESG投信も、グリーンウォッシュの対象になります。
金融庁は2023年3月に監督指針を改正し、ESGを投資対象の選定における主要な要素としていることなど、ESG投信に該当する条件を明確にしました。
そのうえで、投資戦略やESG要素の評価方法、運用上の制約、ポートフォリオの構成などを、交付目論見書や運用報告書で具体的に開示するよう求めています。
投資家はファンド名に「ESG」「グリーン」「サステナブル」と付いているだけで判断せず、投資先の選定基準や保有銘柄、運用実績まで確認することが大切です。
情報開示が充実していても、環境への効果そのものが保証されるわけではありません。
掲げている方針と実際の投資行動が一致しているかを見極める必要があります。
参考:金融庁「ESG投信に関する金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針の一部改正」
EUでは根拠のない環境表示への規制が強化されている
EUでは、グリーンウォッシュを防ぐための規制が日本よりも具体的に整備されています。
2024年に採択された「消費者のグリーン移行を支援する指令」では、裏付けのない「環境にやさしい」「グリーン」「生分解性」といった包括的な環境主張や、信頼できる認証制度に基づかないサステナビリティラベルなどが規制対象です。
商品の一部に関する環境上の利点を、商品全体の特徴であるかのように表示する行為も禁止されます。
この指令は2026年9月27日からEU加盟国で適用されるため、EU域内で商品やサービスを提供する日本企業も無関係ではありません。
企業は環境表示の根拠を示すだけでなく、対象範囲や前提条件を明確にし、広告表現と実態を一致させる必要があります。
日本国内の基準だけで判断せず、販売先の規制も確認することが重要です。
参考:欧州委員会「Sustainable consumption」
消費者がグリーンウォッシュを見分ける5つのポイント
グリーンウォッシュを見抜くには、「エコ」「サステナブル」といった言葉だけで判断せず、その主張を裏付ける情報まで確認することが大切です。
環境をイメージさせる色や写真、独自のマークが使われていても、実際に環境負荷が低いとは限りません。
確認すべきなのは、数値や比較条件、対象範囲、第三者認証など、主張の根拠となる情報です。
ここでは、商品やサービスを選ぶ際に確認したい5つのポイントを紹介します。
「環境にやさしい」などの曖昧な表現だけで判断しない
「環境にやさしい」「エコ」「サステナブル」といった表現は、具体的な環境効果が示されていなければ、商品の良いイメージを伝えるだけにとどまります。
緑色のパッケージや自然の写真が使われていても、それだけで環境負荷が低いとは判断できません。
商品を選ぶ際は、何がどのように環境へ配慮されているのかを確認しましょう。
原材料や製造方法、CO2排出量、廃棄後の処理などについて具体的な説明がなければ、印象だけを強調している可能性があります。
数値や比較条件など環境主張の根拠を確認する
「CO2排出量を50%削減」「従来品より環境負荷が低い」といった表示を見るときは、数値だけでなく算定方法や比較条件も確認しましょう。
比較対象や基準年、対象となる工程が示されていなければ、実際の効果を正しく判断できません。
企業のWebサイトや商品ページに、調査方法やデータの出典が掲載されているかも重要です。
根拠が見当たらない場合や、「当社調べ」とだけ記載されている場合は、数値が示す範囲や信頼性を慎重に見極める必要があります。
一部の環境配慮を商品全体の特徴として示していないか確認する
パッケージに再生素材を使用しているだけで、商品全体が環境に配慮されているように表示されることがあります。
原材料、製造、輸送、使用、廃棄までのうち、どの範囲について説明しているのかを確認しましょう。
一つの環境負荷を減らしていても、別の工程で多くのエネルギーや資源を使っている可能性があります。
特定の長所だけを見るのではなく、商品のライフサイクル全体を踏まえた情報が示されているかを確かめることが大切です。
環境ラベルや第三者認証の信頼性を確かめる
環境ラベルや認証マークが表示されていても、すべてが公的機関や第三者による認証とは限りません。
企業が独自に作成したマークを第三者認証のように見せている場合もあるため、認証機関の名称や評価基準を確認しましょう。
信頼できる認証制度では、審査基準や対象商品、認証の有効期間などが公開されています。
マークの印象だけで判断せず、認証機関の公式サイトで制度の内容や認証状況を確かめることが重要です。
企業が掲げる目標と実際の取り組みを照らし合わせる
「2050年までにカーボンニュートラルを実現する」といった将来目標だけでは、現在どこまで取り組みが進んでいるか判断できません。
目標の達成期限や対象範囲に加え、途中段階の削減目標や進捗状況が公表されているかを確認しましょう。
環境報告書やサステナビリティレポートを見ると、CO2排出量の推移や具体的な施策を確認できます。
目標を掲げた後も継続して実績を開示し、達成できなかった点や今後の課題まで説明している企業ほど、環境への取り組みを実態に基づいて判断しやすくなります。
企業がグリーンウォッシュを避けるための5つの対策
企業が環境への取り組みを発信する際は、事実に基づいていても、説明の仕方によってグリーンウォッシュと受け取られる可能性があります。
環境効果を実態以上に強調せず、対象範囲や根拠を明確にすることが重要です。
また、担当者だけで表現の適否を判断するのではなく、社内で確認できる仕組みを整える必要があります。
ここでは、環境表示への信頼を守りながら情報を発信するための5つの対策を解説します。
環境効果を客観的なデータで裏付ける
環境への配慮を訴求する場合は、広告やWebサイトを公開する前に、その内容を証明できるデータを用意します。
CO2排出量や資源使用量の削減を示すときは、算定方法、比較対象、基準年、対象期間などを明確にすることが重要です。
調査結果や試験データは、問い合わせや表示内容の見直しに対応できるよう保存しておきましょう。
第三者が確認しても同じ結論に至る根拠を示せれば、誤解を招く表示を防ぎ、環境主張の信頼性も高められます。
環境表示の対象範囲と条件を明確にする
環境効果を示すときは、商品全体、部品、包装、製造工程のうち、どの部分を対象としているのかを明記します。
包装だけに再生素材を使用している場合、商品全体が再生素材で作られていると受け取られる表現は避けなければなりません。
「CO2排出量を削減」などの比較表示では、比較対象や削減率だけでなく、算定した期間や工程も示す必要があります。
注釈を読まなければ条件が分からない表示ではなく、環境主張と同じ場所で読者が理解できるように伝えることが大切です。
商品のライフサイクル全体で環境負荷を評価する
環境への影響は、原材料の調達から製造、輸送、使用、廃棄・リサイクルまでの各段階で発生します。
一つの工程で負荷を減らしていても、別の工程でエネルギー使用量や廃棄物が増えていれば、商品全体の環境負荷が低減したとは限りません。
環境表示を行う前に、可能な範囲でライフサイクルアセスメント(LCA)を活用し、負荷が増減する工程を把握しましょう。
一部の利点だけを強調せず、評価の対象範囲や限界も併せて説明することで、実態に沿った情報発信につながります。
第三者認証や外部検証を適切に活用する
自社による評価だけでなく、第三者機関の認証や外部専門家の検証を受けることで、環境主張の客観性を高められます。
認証を利用する場合は、評価基準や対象範囲を確認し、自社の商品や取り組みに合った制度を選ぶことが重要です。
認証マークを表示するときは、認証された範囲を超えて環境効果を訴求してはいけません。
認証機関名や認証番号など、消費者が内容を確認できる情報も示し、第三者認証を単なるイメージづくりに利用しない姿勢が求められます。
公開前の社内審査と公開後の見直しを徹底する
環境表示は担当部署だけで判断せず、広報、法務、品質管理、サステナビリティ部門などが連携して確認する体制を整えます。
表現の妥当性だけでなく、根拠となるデータや対象範囲、最新の法令・ガイドラインとの整合性も確認しましょう。
情報を公開した後も、認証の有効期限や数値、目標の進捗に変化があれば表示を更新する必要があります。
根拠が古くなった表現を放置しないよう、確認項目と見直し時期をルール化することで、意図しないグリーンウォッシュを防ぎやすくなります。
まとめ|根拠と透明性のある環境表示がグリーンウォッシュを防ぐ
グリーンウォッシュとは、実態や十分な根拠がないにもかかわらず、商品や企業活動を環境に配慮しているように見せることです。
意図的な虚偽だけでなく、対象範囲や比較条件の説明不足、一部の環境効果を過度に強調する表現も、消費者の誤解を招くおそれがあります。
消費者は、広告のイメージだけで判断せず、数値の根拠や第三者認証、企業の実績まで確認することが大切です。
企業側には、客観的なデータを用意し、環境効果とその限界を正確に伝える姿勢が求められます。
環境への取り組みを継続しながら透明性のある情報発信を行うことが、グリーンウォッシュを防ぎ、社会からの信頼を築くことにつながります。


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